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2019-02-22

【実践するヨガ哲学vol.10】「イーシュヴァラ・プラニダーナ」: みんなの幸せを祈り、社会に貢献する



「ヤマ、二ヤマ」シリーズ第10回目は“イーシュヴァラ・プラニダーナ”です。
>>ヨガの八支則についてはコチラ


ヤマ、二ヤマとは?
1. ヤマ/Yamas 【禁戒】
他人との関わり合いの中で、慎むべき行為のこと。
アヒンサー(非暴力)サティヤ(正直)アスティヤ(不盗)ブラフマチャリヤ(禁欲)アパリグラハ(不貪)

2. 二ヤマ/Niyamas 【勧戒】
自分自身とのより良い関係を構築するため、進んでやるべき自己鍛錬。
シャウチャ(清浄)サントーシャ(知足)タパス(苦行)スワディヤーヤ(聖典の学習)、イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への献身)


二ヤマの5番目となる「イーシュヴァラ・プラニダーナ」とは、日本語に訳すと「神への献身」

ちょっと重い言葉ですよね。
「大いなる存在に全てを委ねる」
と言い換えると少しニュアンスが和らぐかもしれません。

神とは何か

「神」と聞いて、何をイメージするかは人によって様々かもしれません。

トップの写真は、世界的に有名な偉大なヨギ、パラマハンサ・ヨガナンダによる 『あるヨギの自叙伝』という本です。
(2016年に書いたこちらのブログに、ヨガナンダの生涯を描いた映画『永遠のヨギー』について紹介していましたので、よかったらご覧になってみてください。)

500ページ以上にも渡る読み応えのある、叡智に満ちた素晴らしい内容で、ヨガナンダの幼少の頃から、大人になってアメリカに渡り、多くの人にヨガを伝える役目を果たし、マハ・サマディ(ヨギの肉体離脱)に到達するまでの生涯で出会った、たくさんの聖者やその周りで起こった様々な不思議な出来事が詳細に綴られています。

一人の師が同時に離れた二つの場所に現れたり、死にかけていた人が急に元気になったり…最初は、「嘘でしょ?」と言いたくなるようなことも、この本を読んでいるうちに、「あれこれ考えず全て受け入れてみよう」と思うようになりました。(もちろん、私にはこのような超越的な能力はありませんが…)

そしてここには、「神とは何か」について深く考えさせられる内容が書かれています。

この本から学んだことをいくつか、私なりの言葉でシェアしたいと思います。

ヨガでは、神というのは特定の宗教を表すものでなく、宇宙、私たちが住む世界、あらゆるものの創造主であると考えます。
そしてその神は、どこか特定の場所にいるわけでもなく、1つの決められた形をとるわけでもなく、万物、万人の中に存在すると考えられているのです。

ですから、ヨガでは必ずしも寺院や教会に行かなくても、いつでもどこでも瞑想することで神を感じることができると言います。
あるいは、修行を積んだ人であれば、花に触れるだけで、また目の前に現れた見知らぬ人(その人がどんな職業だろうと、どんな格好をしていようと)を見るだけで、その中に神を見ることができます。
全ては至高の存在である「神」の創造物だから。

…かなりディープですよね(笑)。ピンとこない人がいても当然だと思います。

私も全然、全てに神を感じるような力はないのですが、瞑想を行うときに、目に見えないけれど存在している神様が自分をあたたかいまなざしで見守ってくれていたり、祝福を与えてくれているイメージを思い浮かべることがよくあります。
そうすると、すごく満たされ安心した感覚に包まれるんですよね。不思議です。

神への献身は誰でもできる社会貢献

ヨガでは、古くから、我欲を捨てて自分が行う全てを神に捧げることが重視されてきました。

果物やお菓子を神棚や仏壇に供えるという感覚に親しみはあっても、 全てを神様に捧げるという感覚はあまり日本人には馴染みがないかもしれません。

神は万物、万人の中に存在すると書きましたが、 そうすると、
神に捧げる=社会に奉仕する ということになります。

自分の地位や名声や財産の為に働くのではなく、人々に知識を分け与えたり、奉仕することによって神への献身を表すのです。

インドには、貧しい人の為に無料で食事を提供するアシュラム(道場)や、無料で診察や治療をする病院がたくさんあり、多くのヨギたちがそのような場所で奉仕活動に従事してきたそうです。

もちろん、私たちには私たちなりの生活があり、 家族を養ったり、家のローンを払ったりするのにお金が必要です。
それに、おしゃれもしたいし、時々素敵なレストランで食事をしたりしたいですよね。

私たちができるのは、行き過ぎない範囲で自分の生活を楽しみながら、 その恩恵を社会に還元していくことではないでしょうか。

必ずしもお金に恵まれているから奉仕できるというわけではなく、 困っている人の為にどんなに小さなことでも自分ができることをすることや、自分よりも辛い思いをしている人の為に祈ることはそう難しいことではないと思うのです。(と、言うのは簡単なのだけれど!)

昨年の西日本豪雨の頃から頻繁にテレビでお見かけする災害ボランティアの尾畠春夫さん。
彼はヨガのことをご存知ないかもしれませんが、このような人こそ”ヨギ”だなぁと感じます。


というわけで、このヤマ、二ヤマシリーズも今回で終わりですが、 最後になったイーシュヴァラ・プラニダーナ、少しでも伝わったでしょうか。

私自身、みんなの幸せを祈ることや、自分が社会に対してできること(ヨガを伝えることなど)をやっていきたいなぁと思っています。
今まで自分が神様から、宇宙から授かってきたたくさんの恩恵を、ゆっくり時間をかけてお返ししていくようなつもりで。
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