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2017-06-23

マインドフルネスに生きる。



今この瞬間のリアルを味わう

先日、お寿司屋さんに行った時のこと。

カウンターに座って板前さんと会話をはずませながらお寿司を食べていたら、隣の席に座っていたおそらく観光客らしき韓国人の方2人が、注文したお寿司が目の前に運ばれてくるやいなや、スマートフォンで写真を撮り、その場でSNSに投稿を始めました。

その後も、彼らはスマホでSNSをちらちら見ながら、お寿司を口に運んでいました。

せっかく日本まで来ているのに、お寿司を味わうことよりも、SNSで投稿した写真にどれだけの「いいね」がつくかばかり気にしている様子。

カウンター越しに板前さんたちがお寿司を一つ一つ握る様子や、新鮮なお魚の味を”ライブで”味わってほしいな、とお節介ながら思ってしまったのです。

でもこういった光景、今や決して珍しいことではありません。

私もSNSを使うので、こういった場面を見る度、気をつけよう、と思うのです。

自動操縦モードから、マインドフルネス・モードへ

最近「マインドフルネス」という言葉を良く耳にするようになりました。

先日、あるイベントに参加したとき、そこで「お抹茶点て体験」というのがありました。

その時司会者の方が、「お抹茶を点ててマインドフルネスな時間を過ごす」という言葉を使われていたのが印象に残っています。

「マインドフルネス」とは、今この瞬間に起こっていることをはっきり知ること。

自分の体、感情や思考、または世界で、何が起こっているかをはっきり知ることです。

日本の伝統文化である「茶の湯」や「生花」にも、マインドフルネスの要素が詰まっています。

それもそのはず。

マインドフルネスというのは、最近になって急に出てきたものではなく、その根底にあるものは、何千年も前から実践されてきた「瞑想」のエッセンスであり、それを現代人にフィットしやすいように、宗教性を排除し、よりシンプルにわかりやすく提案されているものなのです。

例えば、

テレビを見ながらご飯を食べるのと、

ご飯を食べることだけに意識を集中するのとでは、
全く違う体験です。

前者は、いわゆる「自動操縦モード」

ほぼ無意識に手が動き、ご飯が口に運ばれていきます。

意識はテレビの中の物語に夢中です。

あるいは、そのテレビにすら意識は集中せず、別のことをあれこれと考えているかもしれません。

心ここにあらずな状態です。

後者は、ご飯のあたたかさや食感、味、噛む音、食道を通って胃の中に落ちていく様子に意識を100%集中しています。

100%ご飯を味わっているのは、当然ながら後者の方。

私たちは、脳内のおしゃべり、つまり無意識に頭の中であれこれ考えることに、多くのエネルギーを費やしています。

思考に占拠されてしまうと、身体感覚は段々薄れていき、心と身体はバラバラになっていきます。

目の前で起こっているありのままのリアルな現実を見過ごし、脳内で展開されるストーリーや間違った認識に振り回されながら生きることになります。

どちらがストレスが少ないか、明白です。

実際に、マインドフルネスはストレスマネジメント法としても活用され、医学的にもその効果が証明されているようです。

マインドフルネスを実践する時、つまり、完璧に今この瞬間に集中しているときというのは、心と体は一つになります。

それがとても気持ちがいいということを、ヨガを実践されている方ならすでに知っているはずです。

ヨガ自体が、マインドフルネスの実践でもあるわけですから。

日常の素晴らしい瞬間を知る

先に、食べることを例に挙げましたが、日常は素晴らしい瞬間で満ちています。


空気が新鮮であること

空が青いこと

道端に咲いている花が美しいこと

こういった日常に溢れている素晴らしい瞬間に気づくことは、決して難しいことではないはずです。

にもかかわらず、今この瞬間を味わう充足感を知らないまま、私たちは頭の中で「◯◯◯すれば、◯
◯ができるようになれば、幸せになれる」、といった考え(思い込み)に縛られて生きています。
それは、知らず知らずのうちに、自分自身にストレスを与えているよようなものです。

現代社会は、便利だけれど、そういった意味では生きにくい環境なのかもしれません。

私たちの意識を簡単に「今ここ」から引き離し、欲や怒りを喚起するモノや情報で溢れているからです。

そんな現代社会で生きる私たちにとって役に立つのが、呼吸に意識を向けるマインドフルネス・瞑想ではないでしょうか。

呼吸に意識を向ける

今この瞬間をはっきり知るための一番簡単で良い方法は、呼吸に意識を向けることだと感じています。

ヨガの練習の中でも、アーサナ(ポーズ)が完璧にとれることよりも、最も大切なのは呼吸に意識を向けることです。

様々な瞑想の手法の中でも、呼吸に意識を向ける方法、「数息観(呼吸をカウントする方法)」などは瞑想初心者でも取り組みやすいと言われています。

呼吸に意識の焦点を合わせると、

脳内の様々なおしゃベリが静かになってきます。

意識は今この瞬間にしっかり根付き、

心と身体が一つになります。

静かに座って、一つ一つの呼吸を丁寧に味わうとき、

私は今この瞬間に生きています。

それは人生を丁寧に生きることに直結していると思います。

息を吸うとき、身体の内側にどんな感覚がありますか。

息を吐くとき、どんな感じがしますか。

ありのままの感覚に、静かに耳を済ませてみましょう。

私は、呼吸に意識をぴったりと寄り添わせるとき、

普段ぼんやりとしている

今生きていることのありがたさや

自然の美しさを

はっきりと感じます。

本当に大切なことは、とてもシンプルです。

皆さんも、ぜひ日常生活の中でマインドフルネスを実践してみてくださいね。

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