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2016-10-28

「考える」よりも「感じる」練習を

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ヨガクラスを受けている時、皆さんはどれくらい“集中”していますか?

ポーズや呼吸に集中しているつもりだったのに、気づいたら昨日家族に言われた嫌な一言を思い出したり、今日この後ランチで何を食べようか、なんて考えていたり・・・他のことを“考えている”瞬間、ありませんか?

望んでいるわけではないのに、無意識のうちに何か”考えている”・・・私たちの心はいつも、ふらふらと好き勝手に動き出してしまいます。

心はいつも「今ここ」にいない!?

私たちの脳は、ものすごいスピードで受け取った情報を処理し、次々と思考を展開していきます。

過去のある出来事を思い出したり、未来を想像してみたりして、今現在にじっと留まるということがとても難しいのです。

例えば洗い物をしている時、お皿を洗うことだけに集中してみたことがありますか?

洗剤が泡だつ様子や、蛇口から流れる水の音、スポンジで擦ると汚れが落ちていく様子に意識をずっと集中する。

きっと、無意識にテレビの音を聞いていたり、別のことをあれこれ考えていたりするはずです。

何をするにしても、「ながら」が好きな私たちですが、実際には同時に複数のことに集中できる人はほとんどいないのではないでしょうか。

他にも、何かをしながらご飯を食べた時、じっくり味わっていないので、何をどう食べたか思い出せない。

パソコンの前に長時間座って仕事をしながら、自分がどういう姿勢になっているかに気がつけない。

今この瞬間、自分が行っている行為なのに、心はいつも“今ここ”から遠く離れてしまっているのです。

心が”考えること”に占領されていくと、今実際に自分の身体が体験している身体感覚はほとんど感じられなくなってきます。

つまり心と身体がバラバラになっていくのです。

現代人にとってヨガをする意義の一つは、考えることから離れて、このような心と身体の分離状態を少しでもやわらげる練習をすることにあるように思います。

ヨガは思考の暴走を止めて、心をコントロールする練習

文明が発達し、私たちは身体を動かす仕事よりも、頭を使って情報を処理したり、新しいアイディアを生み出す仕事に価値を見出すようになってきました。

頭を使って”考える”ことが、とてもいいことのように思われていますが、実はいいことばかりではないのです。

厄介なのは、私たちの心というのは、より刺激的なものに魅かれるという性質をもっていること。

さらには、よりネガティブな方に引っ張られる傾向にあるということです。

不安、心配事、怒り、嫉妬・・・こういった強い刺激を好んで増殖させてしまいます。

こういった心の性質を覚えておくことは、とても役に立ちます。

なぜなら、私たちがヨガを練習している時によく言われる“心をコントロールする”とは、まさにこの暴走しやすい思考の動きを鎮めていくことです。

それは私たちがネガティブな思考に振り回されず、穏やかに、最低限のエネルギーで生きて行くために必要だからです。

五感を研ぎすまそう

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そもそも、集中するというのは、あれこれと考えをめぐらすことでも、“無になろうとする”ことでもありません。

「”無”になろう、”無”になろう、あれ、もう無になれてるかな・・・」この時点で私たちは無になろう、と「考えて」いるのです。


大切なのは、”考える”ことをお休みし、”感じる”方へスイッチを切り替えていく、つまり五感を使うことです。

集中力が途切れてしまった時、おすすめなのは”触れる”ことに意識を集中することです。

ヨガの練習中ならば、

マットから足を離す時、足をつける時の感覚。

手のひらですねを押すときの感覚。

背中が床に触れている感覚。

触れている感覚に意識を集中すると、頭の中のザワザワがスーッと静かになっていきます。

ポイントは、現状把握にとどめて、そこから“ジャッジ=判断”しないこと。

ただあるがままを感じるだけでいいのです。

もし何か”考え”が次々に浮かんできたら、それを客観的に眺めて、どんどん流していきます。

この行為を意識的に繰り返して練習していくと、思考が次々に展開していくことを避けることができます。
エネルギーの無駄がなく、うんと集中力が高まることでしょう。

ぜひ、マットの上でも、またマットの外の日常生活の中、例えば電車に乗っている時や信号待ちをしている時などに試してみてくださいね。

エネルギーはよりポジティブな活動に生かしましょう!今日も素敵な1日を!


カナコ

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