【実践するヨガ哲学vol.1】「アヒンサー」: まずは自分自身を大切にする
前回のブログで、ヨガの八支則についてご紹介しました。
今回から、八支則の中で1番目にくるヤマ(禁戒)、2番目にくる二ヤマ(勧戒)の各5項目を10回に分けてフォーカスしていきたいと思います。
1. ヤマ/Yamas 【禁戒】
他人との関わり合いの中で、慎むべき行為のこと。
アヒンサー(非暴力)、サティヤ(正直)、アスティヤ(不盗)、ブラフマチャリヤ(禁欲)、アパリグラハ(不貪)
2. 二ヤマ/Niyamas 【勧戒】
自分自身とのより良い関係を構築するため、進んでやるべき自己鍛錬。
シャウチャ(清浄)、サントーシャ(知足)、タパス(苦行)、スワディヤーヤ(聖典の学習)、イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への献身)
第1回目は、ヤマ(禁戒)の一番最初に出てくる“アヒンサー/Ahimsa(非暴力)” (またはアヒムサとも言います)です。
非暴力というと、世界的に有名なインド独立の父と言われるガンディーを思い浮かべる人もいらっしゃるのではないでしょうか。
暴力を振るわない、乱暴なことをしない…というと、誰しもが「自分はそんな暴力的な人間じゃない」と思うでしょう。
一見、”非暴力”とは、努力なしにできる、簡単なことに思えます。
しかし、ヨガの八支則の中の”アヒンサー(非暴力)”とは、行動だけでなく、言葉、そして思考においても暴力を慎むことを言っています。
誰かのことを言葉で攻撃する、悪口を言う、インターネット上で中傷することも暴力にあたります。
食べるために必要以上に生き物の命を奪うのも、暴力です。
怒ったり、イライラすること、不満をぶちまけることも、一緒にいる人に対してネガティブな影響を与えてしまうため、これも暴力と言えるでしょう。
また、そのような怒りの感情だけでなく、自分を卑下したり、無理をするのも自分に対する暴力なのではないでしょうか。
こうしてみると、暴力というのは意外と私たちの身近にあるように思います。
私たちは、本当の意味で日々、”アヒンサー”を実行できているでしょうか?
周りの人や動物や自然を思いやり、また自分自身を大切にできているでしょうか?
自分の振る舞い、発する言葉や、考えにおいて、本当にそれができているでしょうか?
もしも難しいと感じたなら、まずは自分自身を大切にすることから始めてみましょう。
今日1日頑張った自分に対して、「よくがんばったね」と褒めてあげること。
自分のダメなところを攻撃する前に、自分の良いところをちゃんと認識しておくこと。
忙しく頭がパンクしそうになったら、少しの時間、目を閉じて呼吸に意識を向けること。
心や身体からのサインに蓋をせず、疲れたら素直に休むこと。
自分自身を労わり大切にできなければ、身近な人にさえ、正しく、思いやりをもって接する余裕は生まれない気がします。
アヒンサー。侮るなかれ。アーサナの練習をする以前に、とても大切なことですね。
ヨガマットがなくても、ヨガスタジオに毎日行けなくとも(off the mat)、いつでもどこでも実践可能です。
まずは、自分との不必要な戦いをやめて、自分を愛することから始めてみませんか。
>>次はサティヤ(正直)です。