【実践するヨガ哲学vol.3】「アスティヤ」: 人と分かち合う豊かさを知る
ヤマ、二ヤマシリーズ第3回目は“アスティヤ(不盗)”です。
>>前回のブログ”サティヤ(正直)”はコチラ
>>ヨガの八支則とは?
1. ヤマ/Yamas 【禁戒】
他人との関わり合いの中で、慎むべき行為のこと。
アヒンサー(非暴力)、サティヤ(正直)、アスティヤ(不盗)、ブラフマチャリヤ(禁欲)、アパリグラハ(不貪)
2. 二ヤマ/Niyamas 【勧戒】
自分自身とのより良い関係を構築するため、進んでやるべき自己鍛錬。
シャウチャ(清浄)、サントーシャ(知足)、タパス(苦行)、スワディヤーヤ(聖典の学習)、イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への献身)
ヨガスートラでは、”アスティヤ(不盗)”に徹すれば、自然と富はやってくるといっています。
普通、富が欲しいがために、人は盗みを行うと考えますよね。どういうことなのでしょうか。
私たちは、小さい頃から「人の物をとってはいけない」と教えられてきました。
許可なく他人のものに手を出してしまうこと。
会社のものを私的に所有する、個人的な目的の為に使う。
こういった盗みは、当然よくないことだと分かっています。
しかし、アスティヤが言っているのは、実は物だけではありません。
例えば、他人のアイディアをあたかも自分が考えたように言う。これはどうでしょうか?
これは無意識にやってしまいがちなので、私も注意しています。
今はインターネットで様々な情報にアクセスでき、個人のブログや論文まで見れてしまう為、簡単に誰かが言っていることをそのまま”パクれる”のですが、これも当然盗みになってしまいます。
時間に遅れて、人を待たせることも、人から時間を奪うため、アスティヤに反する行為ですね。
今は携帯電話ですぐ連絡ができてしまうので、待ち合わせに遅れることに対してルーズになっている自分がいるな、と気付いたことがあります。人の時間も大切にする精神、大切ですね。
また、必要以上に所持することも、良いことではありません。
電車内や公共の場所でスペースを多めにとる、行くか分からないけれどとりあえず予約して、結果欠席する…など、自分のことしか考えずに行動すると、それによって、本当に欲しい人がそれを得られなかったり、機会を逃してしまうことにつながってしまうからです。
あれが欲しい、もっと欲しい。
少しでも楽して多くのお金を所持したい。
独り占めしたい、という独占欲。
少しでも自分をよく見せたいという自己顕示欲。
アスティヤは、こういった“欲”を手放さずして実現することは難しい、ということがお分かりいただけたかと思います。
お金をもらい、自分自身のために使うことは、もちろん悪いことではありません。
でも、もし余ったお金があれば、自分の欲望を満たすためだけではなく、人のため、社会のためになるようなことに使いなさい。分け与えなさい。
先人たちは、私たちにそう教えてくれているのかもしれません。
世界中の国、会社、コミュニティ、人々がこの精神を実践すれば、富は正しく分配され、世界には飢餓や貧困はなくなるのではないでしょうか。
私たち誰もが、自分のことばかり考えず、奉仕と分かち合いの精神を忘れずにいたいものです。
私も、まずは身近なことから、アスティヤを実践していきたいと思います。
>>次回は“プラフマチャリヤ(禁欲)”です。