【実践するヨガ哲学vol.9】「スワディヤーヤ」: 何歳になっても成長できる!
シリーズ第9回目は“スワディヤーヤ”です。
>>ヨガの八支則についてはコチラ
1. ヤマ/Yamas 【禁戒】
他人との関わり合いの中で、慎むべき行為のこと。
アヒンサー(非暴力)、サティヤ(正直)、アスティヤ(不盗)、ブラフマチャリヤ(禁欲)、アパリグラハ(不貪)
2. 二ヤマ/Niyamas 【勧戒】
自分自身とのより良い関係を構築するため、進んでやるべき自己鍛錬。
シャウチャ(清浄)、サントーシャ(知足)、タパス(苦行)、スワディヤーヤ(聖典の学習)、イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への献身)
4つ目のニヤマであるスワディヤーヤとは、本来、ヨガの聖典など霊的な書物を読み、学習するという意味。スヴァは「自己」、アディヤーヤは「学習」「教育」という意味があるそうです。
聖典やマントラを学ぶ
ヨガの歴史の深さには本当に圧倒されるのですが、最も古いヨガの聖典というと、およそ紀元前1500年頃から伝わる『ヴェーダ』という聖典、その後に書かれた『ヴァガヴァッドギーター』や『ヨガスートラ』などのヨガの経典も非常に有名です。
これらを現代人にも分かりやすく解説した本もあるので、読んでみるのもヨガの学びを深めるのに役に立ちます。すべてを理解しよう、と思うと大変ですが、ちょちょちょこ”良いとこどり読み”でもいいかもしれません。古代の人たちって、生きることに対してこんなに深く突き詰めて考えていたんだ、とか、私たちが生きている現代って果たしてあらゆる意味で発展していると言えるのだろうか、なんてことを思ったりします。
ヨガは単に身体を鍛えるものではなく、内側にある霊性(スピリチュアリティ)を高めていくことが大切だとされていて、瞑想やマントラ(真言)を唱えることは代表的な手法です。
私は最近、サンスクリット語のマントラを口に出して唱えながら、少しずつ覚えるようにしています。古代から伝わる祈りの言葉の持つパワーはとても力強く、繰り返し唱えていると、不思議と心のざわざわが静かになっていくような気がしています。
しかし、本当の学びというのは、聖典を隅から隅まで読んでマントラを覚えたら修了証をもらえる、といったものではありません。
スワディヤーヤとは、その言葉が示している通り、自己探求を意味します。
ヨガでの自己探求とは、自分自身を通じて本当の自分(本質、魂)を知ること。
アーサナ(ポーズ)、呼吸、瞑想など、まさにヨガは自己探求のための素晴らしい手法を確立しています。
ヨガの学びをまずは自分自身の日常生活(とその積み重ねである人生)に還元し、そして周りの人のためにどう役立てていくのか。
それこそが大切だ、と思うのですが、私もまだまだ道半ばなのです。
人は何歳になっても成長できる!?
私たちは、最も外側にある粗雑なレイヤーである肉体の衰えには敏感で、老いていくことをネガティブにとらえがちです。しかし、ヨガやアーユルヴェーダの世界では、人は年齢を重ねるごとに肉体的には機能が低下していったとしても、精神的な成長を続けながら人間性、内側の霊性を向上させていくことができると考えます。素敵な考え方だと思いませんか。
ヨガが目指すのは「スワディヤーヤ=自己探求」によって、人生に役立つ学びを得て、自分の内面を成長させていくことだと思います。
ヨガの聖典などに限定されず、好きな分野の本を読むことや、また実際に旅をしてその土地の文化を知ることも、自己の成長にとって良い栄養になるのではないかと思います。私も小説を読んだり、知らない土地を旅することは大好きです。
ぜひ気楽な気持ちで、「自分にとっての前向きな気づきやインスピレーションが得られるかどうか」を基準に自己探求を続けてみませんか?
自分なりのスワディヤーヤ、ぜひ実践してみてくださいね。