【実践するヨガ哲学vol.4】「ブラフマチャリヤ」: 欲望に振り回されない
ヨガの八支則で最初に抑えておきたい「ヤマ、二ヤマ」シリーズ第4回目は“ブラフマチャリヤ(禁欲)”です。
>>前回のブログ”アスティヤ(不盗)”はコチラ
1. ヤマ/Yamas 【禁戒】
他人との関わり合いの中で、慎むべき行為のこと。
アヒンサー(非暴力)、サティヤ(正直)、アスティヤ(不盗)、ブラフマチャリヤ(禁欲)、アパリグラハ(不貪)
2. 二ヤマ/Niyamas 【勧戒】
自分自身とのより良い関係を構築するため、進んでやるべき自己鍛錬。
シャウチャ(清浄)、サントーシャ(知足)、タパス(苦行)、スワディヤーヤ(聖典の学習)、イーシュヴァラ・プラニダーナ(神への献身)
“ブラフマチャリヤ”とは、禁欲、つまり一生独身を貫くこと。
しかし、一般社会で生きていく上で、結婚願望があるのにも関わらず独身でいるというのは、現実的ではありませんよね。
ヨガスートラでも、必ず独身を守ることや、子供を設けてはいけない、などと言っているわけではないようです。
私が思うに、先人たちが伝えたいことは、性欲、食欲、物欲など人間なら当然持っているこういった欲に溺れず、何でもほどほどに、ということではないでしょうか。
一時的な快楽を得るために、欲というのは、時に際限なく私たちを襲うことがあります。
本当はお腹がいっぱいなのに、スナックが止まらない…というのは、よくあることではないでしょうか。
買っても買っても、新しい商品が出てくるとまた欲しくなります。
嫌なことがあった時に買い物で発散する、お酒を大量に飲んで忘れようとする…
必要以上に食べると、食べた物を消化するために、身体は大量のエネルギーを必要とし、また、物を買えば買うほど当然お金を使い、その分またたくさんのエネルギーを使って働かなければなりません。
嫌なことを、快楽に浸ることで忘れようとしても、それは根本的な解決にはならず、逆に心身に負担をかけることになるのではないでしょうか。
ヨガの練習を続けていくと、自然と何かを過剰に欲しがることは無くなってきます。
それは、欲というのは、私たちのマインド(心)が外側から何かしらの刺激を受け、勝手に”もっと欲しい””これだけでは満たされない”と騒いでいるだけだ、ということに気がつくからです。
そうすると、たくさん手に入れようとか、もっともっと、と求め続けることから段々と自由になっていき、結果的にはエネルギーの無駄遣いを防ぎ、本当に必要なことにエネルギーを注ぐことができるのです。
自分の心と身体を大切にすることにもつながります。
インターネットやテレビは私たちの欲望を掻き立てる情報を日々大量に流し続けていますが、情報に流されるのではなく、自分が本当に必要なものは何か?本当にそれは必要なのか?”一呼吸置いて”考えてみると良いかもしれません。
ほんの少しの時間、ゆったりと深く、呼吸に集中して、心の”ざわざわ”が静かになっていくのを待ちましょう。
欲は私たちが生きていく上で必要なものですが、過剰な欲望に振り回されないよう、”ブラフマチャリヤ”ー欲望のコントロールを日常生活の中で心がけていきましょう!
>>次回は“アパリグラハ(不貪)”です。